消費者金融基礎
総量規制、消費者金融系の借り入れは年収の3分の1まで
ポイントだけ、簡単に書きます。
・貸金業法第13条の2第2項の規定とは?
「借り入れの上限」を決めるルール。
・必ず「年収3分の1まで?」
人による。もっと低い金額からスタートすることも多い。
・「人による」というのは、どんな条件?
職業、勤続年数、自宅の状況、これまでのキャッシング履歴…など。
・たとえば「3分の1まで行かない」人は?
専業主婦、パート・アルバイト、学生、年金生活者…など。これも人による。
・「1社だけ」で3分の1?「すべての会社」で3分の1?
すべての会社。会社同士で情報を共有している。
・消費者金融だけなの?
だけ。銀行は貸金業法第13条の2第2項の規定の範囲外(例外・除外含む)。
・ということは、銀行は上限がない?
ある。100万までは収入証明書なしで行けるが、それ以上は証明が必要。
いくらになるかは、その収入による。
・年収は「今年」の?「去年」の?
去年の。今年の年収はまだわからないから(12月に宝くじに当たるかも)。
・「3分の1以上借りられる」こともある?
実はある。去年の年収で決まるので、年度をまたぐと、偶然そうなることも。
あとは、コツコツ返済しているうちに、限度額が増えていくなど。
・このルールは、何のためにあるの?
お客を破産から守るため。「貸さないで意地悪する」ためではない。
…以上です。以下、貸金業法第13条の2第2項の規定に関する高度な知識を、わかりやすく解説します。
【目次】
1.貸金業法第13条の2第2項の規定が『関係ない』ケース
└1-1.『担保がある』場合
└1-2.『約束手形』の形で借りている場合
└1-3.『プロの貸し借り』の場合
2.本当は関係あるけど『例外で認められる』ケース
└2-1.おまとめローン(計画返済支援のための融資)
└2-2.緊急の医療費(人命や健康を守るため)
└2-3.個人事業の資金
└2-4.銀行の融資が下りるまでの「つなぎ資金」
└2-5.配偶者の収入を合算
└2-6.その他、人道的に認められるケース全般
1.貸金業法第13条の2第2項の規定が『関係ない』ケース
1-1.『担保がある』場合
担保とは「不動産、株券」などの「お金になるもの」。
業者がこれを「人質に取る」形です。
(人質の語源も、そもそも質屋の「質」なのですが)
人質(物質)がある以上、「業者が損する」こともないし、「利用者が破産する」こともないわけです。
株や不動産を失うだけで。
なお、担保として認められるのは、下のようなものです。
- ・不動産
- 自動車
- 有価証券(株券、国債など)
1-2.『約束手形』の形で借りている場合
たとえばあなたが「会社の社長」だったとします。
で、「約束手形」を発行します。
「この紙切れを100万で買ってくれたら、2020年7月に120万で交換する」と。
(東京五輪の開会式です)
もしあなたの会社が東京五輪まで生き残るなら、これは「かなりお得」。
なので、あなたの会社を信用した人は、この「約束手形を買う」わけです。
これは「事実上、借金」です。
しかし、普通の借金とは違うので、これは「貸金業法第13条の2第2項の規定」に含みません。
(会社が元気になれば、国の経済が潤うので、こういうのは応援するんですね)
1-3.『プロの貸し借り』の場合
プロというのは「貸金業者自身」です。
「業者同士の貸し借り」とか、「さらにそれを媒介する人の借り入れ」…などです。
これは複雑なので、説明を省きます。
私たちには必要ない話ですし、海千山千のプロの行動は「何でそんな貸し借りをするのか?」の説明が、難しいからです。
(Googleやアップルの節税などもそうですが、お金の世界は上の方に行くと、頭脳パズルそのものです)
2.本当は関係あるけど『例外で認められる』ケース
2-1.おまとめローン(計画返済支援のための融資)
たくさんの会社から借り入れている人が「全部一社にまとめる」もの。
まとめるためには、「一社以外、全部返済」する必要があります。
しかし、ほとんどの人は「そのお金がない」わけですね。
「貯金もない」し、「これ以上の借金もできない」わけです。
というわけで「一瞬だけ」、その一社が貸してくれるのです。
「一瞬だけ、大量に貸してやるから、これで他の会社の分を返してこい」というわけですね。
ちなみに「おまとめローン(計画返済支援のための融資)」というのは、わかりやすくした呼び名。
正式には「顧客に一方的有利となる借換え」と言います。
(正式名称だと、訳わからないですね。笑)
2-2.緊急の医療費(人命や健康を守るため)
法律というのは、結構人間味のある記述があります。
これもそうですね。
「病気やケガの入院でお金がかさんだ」…という場合は、「年収の3分の1以上、借りてもいい」わけです。
もちろん、その後の返済は必要です。
ただ、とりあえず「命があれば何とかなるんじゃないか」ということですね。
2-3.個人事業の資金
事業が活性化すると、国の経済が活気づきます。
そのため、これは貸金業法第13条の2第2項の規定を超えてもいいのです。
プロミス・アイフル・アコムは、普通のカードローンとは別に「事業者向けローン」も提供。
これらを使うと、より大きな金額を借りられます。
2-4.銀行の融資が下りるまでの「つなぎ資金」
これも「個人事業」と同じ理由。
「国の経済を活性化させるため」ですね。
特にこの場合「銀行から、いつお金が来るか」がわかっています。
(銀行なので、ほぼ確実に来ます)
2-5.配偶者の収入を合算
「配偶者貸付」というもの。
収入のない専業主婦が借りられるのは、このルールによるものです。
「その人の年収」はゼロでも「配偶者と合わせた年収」の3分の1までなら貸してもいい…ということですね。
つまり、事実上「夫の年収の3分の1まで」借りられるわけです。
ただ、消費者金融ではこの手は使えません。
専業主婦が借りたい場合は、銀行カードローンオンリーになります。
(セゾンなど、クレカ系の消費者金融もOKですが、審査が厳しいです)
2-6.その他、人道的に認められるケース全般
その他、「これを助けるのは、人として当然だろう」というケースは、全部許可されます。
筆者が法律や税金の勉強をしていて面白いと思うのは、こういう所です。
随所に「当たり前だけど、法律は人間が作ったんだな」と感じられる記述があります。
3.まとめ『限度額は気にせず、普通に働き、節約しよう』
過去に多重債務者だった筆者が、声を大にしてお伝えしたいのは「限度額など、ぶっちゃけどうでもいい」ということ。
当たり前のことですが、「一切借りない」のが一番なのです。
「金利が安い」とか「限度額が大きい」とか、本当にどうでもいいのです。
借金地獄から解放されると、「あの頃の自分は、つくづくどうでもいい情報ばかり集めていた」と痛感します。
(もちろん、急場をしのぐことは大事なので、そのためのカードローンの「一時的な利用」はアリです)
■ホームレスの方に泊めてもらって、学んだこと
高校時代に家出した時、新宿のホームレスの方に一緒に泊めてもらいました。
彼らは「炊き出しの先頭に並ぶと、最後尾に回って、もう一度もらえる」とか、そういう情報にやたら詳しいのです。
そして、そのために深夜から何時間も並んだりします。
家出のピンチを助けていただいたので、当然感謝していますが、「頑張るところがズレている」というのは、高校生の自分でもわかりました。
「限度額を気にする」とか「金利の安い業者を探す」などの努力も、今になって我が身を振り返ると、まったく同じです。
「普通に働き、節約して、お金を使わなくても喜べる人生」を歩むのが、一番いいのです。
(あるいは、仕事を圧倒的に楽しんで稼ぎまくるか…です)